20200222_WAM助成事業_相談のきっかけづくりの役割〜よろずカフェで「大人の朗読会」に全力〜

2020年2月24日
社内活動

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2020年2月22日、コミュニティカフェクローバーにて、今年度、私たちが「WAM助成」の支援で実施してきたプロジェクトの1つ、介護福祉相談カフェ(よろずカフェ)を開催。今年度のよろずカフェとしては今回がラスト。写真はこの2年間ずっとよろずカフェに関わってくれた大学生ボランティアの彼。実は彼、この私たちとの「よろずカフェ」の活動を卒業論文にまとめてくれました。地域コミュニティカフェの大切を理解し、これからの自分の仕事の目標としてくれた彼も交え「よろずカフェ」が今日も始まります。

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今回のよろずカフェ、相談のきっかけづくりとして「大人の朗読会」を企画しました。朗読会で選んだ本は「徘徊と笑うなかれ」という詩集。藤川幸之助さん、という方の詩集です。よろずカフェの冒頭に、リエゾン長崎の施設長が朗読します。著者の藤川さんが経験した「徘徊と笑うなかれ」というリリックを聴きながら、その時のその人の思いを感じてみる。今回、よろずカフェに集ってくれた皆さんと一緒に、その時のその人の思いを感じてみることで、より自然により深い相談の場面が持てるのではないか、という視点で企画しました。

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もともとアナウンスの経験がある施設長、情感のこもった朗読。そして「徘徊と笑うなかれ」という詩集が見せる情景。皆さん静かに、そして様々な思いを持って聴き入っておられる様子がありました。中には涙ぐまれる方もおられましたね。「徘徊と笑うなかれ」それを直接経験される方も、そうでない方も、大人の朗読会を通じて体験を共有できたのではないでしょうか。事実の説明だけでは伝えきれない世界観、それを「朗読」という場面を共有する事で、そのあとの相談の素地がつくれた感じがありました。

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そこから二つのグループに分かれてグループ相談。今回は、ご経験のある方も、そうでない方も入られます。「徘徊と笑うなかれ」という経験が、少しずつ言葉になり、参加者の皆さんから語られ始められる場面がありました。相談という行為は、そこに信頼がある事が前提と思います。経験を共有できる人だと思える人であり、聴くことの雰囲気を持っていると思える人であること。よろずカフェは「ふくしの会」というチームで活動を進めてますが、まさしく福祉の根幹が「共感」と「傾聴」である事を見せてもらえた気がしました。

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そこには地域のつながりが欠かせないのだと思います。今、社会も時代も「徘徊と笑うなかれ」という経験を理解し始めていると感じます。さらには「気づく」「見守る」「声を掛け合う」「支え合うという意識を持つ」というところへ進化しようとしていると思います。その進化を支えるのが「地域」なのでしょう。今回のよろずカフェ、地域の包括支援センターが3カ所参加して下さいました。民間事業者でできることと、地域包括支援センターとの関係で地域に何か相乗効果を生めれば。その具体的な取り組みがこの「よろずカフェ」であればと願います。

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参加者の皆さんのアンケートを準備してくれています。彼は春から、一人の専門家となって目の前のその人の信頼を得るための仕事に向き合ういます。今日、始まる前、彼の卒業論文、活動を共にした2年間の集大成の言葉を聞きかせてもらいました。大きな大きな成長を感じましたね。確かに、学生ですから、座学で知識を得ていくことが大事。しかし、現場で感じることも同じくらい大きな財産になるのだと感じました。そして、彼は私たちにとても嬉しい言葉をくれました。よろずカフェやっててよかったと思えました。5年後の彼に期待しています。

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今年度、よろずカフェを活動を通じて感じたことは「相談」を受けるには「高いスキル」が要る、ということです。もちろん既存の専門業務を通じた相談援助を研修する場面はあります。しかし、地域で多元的な相談を受ける場面ではコミュニケーション力の強化がとても重要。その為の研修は不可欠です。また、相談マネジメントを進めるためには、相談内容を蓄積する「情報プラットフォーム」が不可欠でっあったと感じます。よろずカフェ、回を重ねるごとに相談も増え経験値が溜まりました。今後、その経験値を一部に内包するのではなく、生活や地域の諸課題としてデータ蓄積、活用していくモデルを構築する事が、活動の次の課題と考えます。

今年度のよろずカフェの活動を通して、改めて「相談」という仕事を見つめ直す事につながったと思います。

敷居高くなく自然に「相談」という行為につながるために、改めて「空間」「機会」「関係」の重要性を理解しました。たとえば「作り込まない場づくり」や「相談のきっかけを役目として機会づくり」など「地域で人に集ってもらう」ということの難しさも体験し、さらには、それら課題場面を通じ具体的相談を展開するスキルに「コミュニケーション」や「情報プラットフォーム」というkeywordにもたどり着きました。

今年度のよろずカフェは、既存の専門業務スタッフのスキルに依存した場面が多くありました。もし、次年度チャンスがあれば、この「相談を受けるということ」のスキルアップの研修を含め、地域カフェ事業をモデル化したいという思いがあります。そして、そのモデルを定期で開催していく事で、次年度以降「常設の相談カフェ事業」として、地域で、具体的な仕組みとして事業展開できる事を目標と出来る様に、アンケート結果の分析等々、今年度事業のまとめの作業を進めたいと思っています。

今回のよろずカフェも、多数の方々のご理解、ご協力のおかげで無事終えることが出来ました。

ご支援頂くWAM助成事業の関係者の皆様をはじめ、よろずカフェに参加頂いた皆様、地域の皆様、準備・運営にあたってくれた社員、ボランティアスタッフの方々。その関係者全てに心から感謝を申し上げます。ありがとうございました。

社会福祉法人春秋会 理事長/Liaisonグループ 代表 川副 巧成

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